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薬の処方の違い

医学は一応自然科学であるから、日米でも診断が同じなら理論的には同じような治療が行われるはずである、しかし市下、吉田両医師がともに指摘するように、よくある病気でも薬の使い方に差が認められる。

小児科の日常診療の場でもっとも多い疾患は、急性上気道炎(風邪)であるが、これはウイルスの上気道への感染によって引き起こされるもので、抗生物質は効果がない。

そうした理由で、通常の風邪には抗生物質を処方しないのが医学的な常識になっている。しかし中耳炎や副鼻腔炎(蓄のう症)を合併する場合、あるいはのどに溶連菌感染が疑われる場合には抗生物質を使用することになっている。また抗生物質で治療する場合には少なくとも1週間服用することも常識になっている。

ところが吉田医師や市下医師によると、
「日本の患者さんは、通常の風邪でも抗生物質を求めることがあることと、抗生物質を処方しても最後までのまずに、数日で症状が軽くなるとそこで自分で止めてしまう」
という。これは、おそらく日本での治療経験(風邪でも抗生物質が処方されることがあり、その場合、服用期間が通常3〜4日であること)が原因であろう。

日本での風邪への抗生物質の(予防的な)投与や、短い服用期間がすべて不適正な治療法であると言い切ることはできないが、日米の治療方針の違いがもっとも目立つ点であり、全く逆の訴えが在日外国人から寄せられることがある。