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障害のある子どもへのサービス

2001年カリフォルニア医療視察団  団長: ドクター 榊原洋一

アメリカのアメリカ障害者法(American Disability Act)では、障害者が非障害者と制度の上で同等の権利をもつだけでなく、実生活における権利の実現が義務づけられている。実際、アメリカではその実現へ向けての体制づくりが確立されているが、それでも障害をもった子どもの家族の苦労は多い。

今回私たちは障害のある子どもの親が設立したNPOうち、最大の組織の一つであるParents Helping Parents(PHP)の本部を視察した。

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障害のある子どもの親が設立したNPOうち、最大の組織の一つ Parents Helping Parents
@Santa Clara

PHPの活動

 PHPは今から25年前に、現在の会長(水頭症による知的障害と情緒障害をもつ息子さんがいる)を含めて3人の障害のある子どもとその親によって設立された。以来、医療機関では決して教えてもらえない日常生活上の苦労や、地域社会で生きてゆくための知恵を共有しよう、というPHPの趣意に賛同する多くの家族が会員になり、現在では(写真6)にあるような立派な本部に60名以上の職員を抱える団体に成長している。

 活動内容の主体は障害のある子どもの親への様々な情報提供である。パンフレット、情報誌、ビデオによって、個々の障害についての幅広い情報を提供するだけでなく、専門書、解説書をふんだんにそろえた図書館の開設の他、ホームページ上における情報公開などを行っている。このようなPHPの活動の中で特にここでご紹介したいのは、あまり日本では例を見ない次の3つの活動である。

相談室

 まず、一番印象的だった活動は、地域の病院内に設けたPHPの相談室である。相談室には、相談員の資格を持つPHPの専任職員が常駐しており、医師からはあまり聞くことのできない、日常生活や教育などについての情報提供やアドバイスをしてくれる。慢性の病気やさまざまな障害が原因で入院した子どもの親は、多くは主治医の紹介でここへ相談に訪れ、病気や障害についての説明を受けている。また、パンフレットやビデオなど、病気や障害に関する啓蒙資料もここで入手することができる。時には相談員が直接病室を訪問することもあるそうだ。

人形劇
 


 PHPには人形劇を担当する部門がある。(写真8)はその部屋で、様々な病気や障害をもつ人を模した人形が見える。中央には重症の火傷を負った女の子の人形、左端には車椅子に座った人形が見える。(こうした人形を専門に制作・販売している団体があるそうだ)PHPでは学校や幼稚園を巡回し、これらの人形を使った人形劇によって、さまざまな病気や障害について子ども達に理解を促している。


コンピュータ

 PHPにはコンピュータなどの先進機器やソフトの作成、その使用法を教授する部門もある。写真9はその部屋である。ここでは使用法の指導のほか、手足に障害を持つ子どものための特別なキーボードの作成や、コンピュータソフトの開発なども、ボランティアの学生の助けを借りて行っている。

日本人メンバー

 もともとPHPの活動は脳性麻痺やダウン症などの精神遅滞や運動障害も子どもへの支援が中心だったようだが、現在はアスペルガー障害などの発達障害や、行為障害のような心理、精神障害をもつ子ども達へのサポートを始めている。

 さらに英語のできない家族に対しては、様々なエスニックグループの言葉を解する会員がサポートを行っている。今回の視察でも、中心的な会員のひとりである一枝ローエンステインさんが、通訳をかねて案内してくれた。一枝さんは、PHPの日本人グループの代表でもある。このPHP日本人グループでは日本語版のPHPのニュースレターの発行も行っている。

 障害のある子どもをつれての海外渡航は通常大きな困難を伴うが、PHPようなNPOの発達しているアメリカでは、こうしたグループを地元で見つけることができれば、かえって日本より生活しやすいかもしれない、という印象をもった。