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アメリカの医療保険の特長
| 1)国の健康保険ではなく、民間の保険会社に各自で加入 |
アメリカに医療保険制度がない、というのは日本のような政府管掌の公的な医療保険制度がない、という意味である。アメリカの医療保険はその主体が民間保険会社が提供するさまざまな医療保険プランである。
| 2)保険でカバーできる疾患や治療が、日本のように全国一律ではなく、保険の種類によって異なる |
民間保険会社の提供する保険プランとは、日本の生命保険、あるいはガンや疾患保険のようなものと考えれば理解しやすい。あるいは例えはよくないが、自動車の保険のようなものと考えても良い。自動車保険に加入するときには、一番基本となる対人対物の損害保険の補償額や、それ以外のオプションの保障内容を契約時にきめることができる。保険料を少なくしたければ、こうしたオプションを減らしたり、保障限度額を低くすればよい。
これに対して日本の医療保険は、保障される内容の選択はできず、全員同じ内容になっており、保険料は個々の収入や加入している保険団体の種類によって自動的に決まってくる。また保険への加入は強制的である。
日本のように全国でどの医療機関にでも受診できる保険もあるが、多くは受診できる医療機関が限られていたり、同じ保険でも受診する医療機関によってカバーされる内容が異なる。
アメリカの民間保険会社で提供している医療保険は大きく3タイプに分けることができる。下方にその3つのタイプについてまとめた。同じ医療保険といってもカバーされる内容が大きく違うことが分かるだろう。受診できる医療機関が限定された保険は、それだけ保険料が低くなる。指定された医療機関では患者を確保できるので、料金を下げることが可能になるのである。
注意しなくてはならないのは、出産と歯科のケアである。加入したときに妊娠していることが分かると出産費用が支払われない場合がある(加入後の妊娠出産はカバーされても)。また原則として歯科は別個に保険料を支払う必要がある。
吉田医師は3人のお子さんがおり、家族全体で歯科サービスもカバーされている保険に加入しているが、月額保険料は1500ドル(約20万円)であるという。その高額なのに驚くが、おそらく一番サービスがよい種類の保険に入っておられるからだろう。
| 4)治療の前に保険会社が支払ってくれるのか確認必要 |
保険の種類によっては、医師が治療を行う前に、保険会社の承諾を求めないと費用が支払われないことがある。
日本では事後審査で医療費の支払い額が確定し、非支払い分は医療機関の損失になるために、必要な検査や治療が行われないことはないが、アメリカではときとして、医師が必要と感じても、保険からの支払いが認められない場合には、その必要な医療を行うことができないという事態が発生しうる。
日本の医療保険制度では、被保険者本人は2割、家族は3割負担であり、残りは支払基金からまとめて医療機関にお金が支払われる。この際に診断名と治療の内容が一致しなかったり、ある限度以上の濃厚な治療を行うと、審査によって支払額がカットされる。
例えば、肺炎なのに下痢止めの治療を行ったり、風邪に高額なγ-グロブリンなどを使ったりすると、お金が支払われず、医療機関の持ち出しになってしまう。しかし患者にその負担がまわることはない。
アメリカの保険でも保険料の低いものは、疾患別に支払いの基準が細かくきめられており、それを把握しないで治療を行うと、医療機関の損失となることもあるため、治療や検査をする前に、保険会社に連絡して承認をとることが普通に行なわれている(緊急時はその限りではない)。そのために、患者や医師が必要を感じていても、その検査や治療が行えないことが生じうる。
保険契約の際に、そのカバーする内容を細かく指定することができるが、そのために保険の内容について、被保険者(または契約者)がきちんと理解をしておくことが必要となる。内容を理解していないで契約を結ぶと、望んだ医療サービスが受けられないことがありうる。
なんでも一律で、保険金も自動的に決まる仕組みになれている日本人には、なんとも不便な制度であるが、十分な保険の知識さえあれば、自分でその内容を決められるという点を、むしろ長所ととらえることもできる。また“自分の健康は自分で管理する”という自主性を促進するためにもよいと考えることもできる。しかし、どこまで自分の健康や病気について正しい予測ができるのか、という疑問も当然出てくる。
保険料を支払うことができない低所得者には、国や州による無料の医療保険がある。カリフォルニアではMedi-Calという州が負担する医療補助制度がある。しかし、低所得レベルには達しないが、民間の医療保険の支払いをする余裕のない「非保険加入者」がアメリカ全体で3000万人近くいるといわれている。ただ保険に加入していない人のためにも、無料で医療サービスを提供する医療機関はある。
郡病院などの公立医療機関の救急室は、保険がなく医療費が払えない人に無料で必要最低限の医療サービスを提供している。ただし、こうした医療機関の場合、医療サービスの質が低いこともある。また診察までに数時間待たされることも稀ではないという。
Aさん:
日本では、国民健康保険や健康保険など、全国民が公共の保険に入ることが義務付けられている。このため、所得に応じた保険料を支払っていれば、本人もその家族も、医療にかかった金額のうち何割かを負担すれば、どこの病院に行っても、すぐに医療を受けることができる。
アメリカでは、日本とは違い、医療保険は自分で民間の医療保険会社を選んで入る。保険に入らなければ、月々、何万円もの保険料を払わずにすむが、風邪をひいて病院にいけば数万円かかるし、予防接種も赤ちゃんの健康診断も万単位の料金を払わなければならなくなる。歯の治療は、別に歯科専門の保険に入る必要があるなど日本とかなりシステムが異なる。
保険は種類もいくつかあり、その内容も、保険会社によってまったく異なる。また、治療方法もたくさんのオプションの中から選ばなければならないことも多い。このため、低額の保険に入ったら、たったふたつの病院にしか保険が使えなかったとか、子どもが救急医療に運ばれたが、病院から、保険の契約内容では、親の希望する治療は保険会社が認めないと言われたりすることもある。
企業派遣でレベルの高い保険に入っていれば、なんの問題もないが、自費で保険に入る家族にとっては、アメリカ生活の中では、最も困難な手続きのひとつといえる。
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