世界各国で子育て中のママが発信しているホームページを紹介して行きます。目指すは世界一周!第二弾はハンガリーから・・・。

 
 
 

サライ美奈さん

ブタペストから西南約200キロにあるバラトン湖畔の村に在住。1989年〜1991年まで、乳幼児教育の勉強をしにハンガリーに留学。ハンガリー人と結婚し、日本で保育者として勤めたあと、1995年よりハンガリーに家族で移住。子ども達は、現在11才、9才、3才の男子。

ブタペストにて日本語の通じる親子を対象にした育児サークル「わらべの会」の主催、自宅にて子ども連れ家族向けのペンション「わらべの家」を経営、隔月で地球のあちこちに住む日本人の為のミニコミ誌「地球・家族・通信」編集・発行。

ホームページ: PENSHION わらべ
http://www.padock.co.jp/warabe/warabe.html

 

 

郷に入れば郷に従え!? 

<ハンガリー時間>

 ハンガリーにはハンガリー時間というものがある。もし、誰かが「10時ごろに行きます」と言っても、それをそのまま信じる人は、まずいない。また、1ヶ月まえに「*月*日に打ち合せに伺います」と連絡をした場合、日本人どうしならその後の連絡がなくてもキャンセルになったとは思わない。でも、相手がハンガリー人の場合は、直前にもう一度確認の連絡を入れておかないと、向こうは連絡がなかったからキャンセルになったのだと理解することがある。そんな訳で、こと時間に関しては、日本の感覚を忘れないと、不必要にイライラすることになる。でも、これに慣れてしまうと、なんとも気が楽である…・。

 日本のビジネスマンがイライラさせられる、この時間に対する゛融通性が、良い方向に発揮されるのは子どもや人間に対してなのではないかと思う。はっきりと、正確に時間を区切って、それに向かって何かをするという習慣が(まだ)ないので、子どもに関しても鷹揚である。今は生後何ヶ月だから…と育児書と子どもを交互に眺めて苦悩する母親は、少ないように思う。時間に遅れた時にいろんな事情(要は言い訳)を上げる国民性は、子どもがマイペースでもまずは子ども側からの理由を考えようとする点にも繋がっているような気がしている。

 

<チョコレート戦争>

 引っ越してきて最初の数年、むきになって戦ったことに「チョコレート」がある。だいたい、歯医者で働いている義姉まで、まだ乳児の息子達に「お土産よ!」と嬉々としてチョコレートを持ってくる。姑はというと、部屋に息子達を引っ張り込んではチョコレートを食べさせる。口の周りを真っ黒にした息子達を発見する度に「チョコレートあげるのやめて下さい―!」絶叫したが、「どうして?チョコレートをもらえないなんて、なんてかわいそうな子達」と、とうとう誰の耳にも(夫の耳にさえ!)届かなかった。そして、今となっては、「うちではチョコレートあげてないんです」という日本人母に出合うと「まー、可哀想に」とつい言ってしまいそうになる自分がいる。

 

<ジャムにはビタミンが!?>

 日本にすんでいた時、体調を崩した夫(ハンガリー人)におかゆを作ったことがある。作ったは良いが、果たしてこんな物を食べるのかと訝しがっていたところ、彼は、ジャムをたっぷりとかけて喜んで食べた。ウェ〜と叫びそうになる私に、夫は「ジャムにはビタミンがたっぷりなんだよ」と涼しい顔である。そんなことがあるものか、あんな砂糖の固まり…・と思っていたが、ハンガリーに住むようになり、あちこちから譲り受けたり、買い集めたりして季節の果物でジャムを山のように作るようになってからと言うもの、どうも、「ジャムにはビタミンがたっぷり…??」と思い始めている。

 日本のように、たくさんの食材を少しづつとることが出来ない生活をしていると、そして、季節ごとの野菜や果物を最優先にたっぷり採る生活をしていると、人間は本来、1年をトータルして栄養摂取しているのだなーと実感させられる。

 

<気の使いどころ>

 3人の子ども、どの時もそうだったが、まだ園に慣れていない入園当初の数日、外履きとジャンバーを脱ぐのをいやがった。泣いて登園はしなくても、家から身につけてきた衣服を脱ぐほど、園に対して気を許してはいなかったのだろう。どの時も、担任の保育者は「そのままで良いわよ」と、外履にジャンバーのままの子どもをクラスに受け入れてくれた。保母さんに聞けばきっとこう言っただろう「床が汚れるのは拭けばすむことなのだから、子どもが安心してクラスに入れる方がよっぽど大切よ。」そして、クラスに入ってしまえば、他の子を見てさっさとジャンバーも靴も脱いでいたようだ。

 レストランに行くと、なにも言わなくても小さな子どもに合ったスプーンやコップ、そして椅子を持ってきてくれるウェイターさんやウェイトレスさんたちがいる。これはなにも、決まりとしてどこかに書かれているからではなく、彼らが、「この子達にとってはこっちの方が快適だろう」と普通に思い、当然の気配りとして持ってきてくれるのだ。

 街中で、親に手を引っ張られながら泣いている子を見かけた時、ハンガリーならたいがい「疲れてきっと眠いのね」と言われ、日本なら「躾が悪い親だ」となるのではないだろうか。

  子どもに向けられる目が温かいなと感じるのは、こんなちょっとした事の積み重ねで、子どもの状態を察してもらえるだけでも親はとても気持ちが楽になる。うるさい男の子が3人もいる私など、「病気しているより、ずっと良いじゃない」と何度言われたことか。そして、ちょっとはめをはずした息子達は、周りのオジさんやオバさん達から直接説教をくらっている。親を経由せずに、直接子どもに周りの反応が届くというのは、社会と子どもの関係を考えてもきっと大きな意味がある。

  決められた枠に、有無言わさず合わせる様に求められる日本の子ども達と、まずは枠を子どものほうに合わせ、次第に、あるべき姿を伝えて行こうとするハンガリーと、どちらがその決まりや枠の意味を理解し、それに合わせようと自ら努力する様になるだろうか…・。

  ハンガリーでは、子ども達はたいがいどこに行っても、暖かな視線に出会っているのではないだろうか。それはきっと居心地の良い状態で、今生きているこの場所を居心地が良いなーと感じているのではないだろうか。そして、居心地の良い場所を、子ども達は大切なものと思うのではないだろうか。西側の豊かな国と隣接し、何かにつけて自分達の経済的な弱さを思い知らされ、自尊心を傷つけられているハンガリー人だが、そんな事よりももっと深い部分にもっている国を愛する気持は、自分たちを育ててくれた者達の温かい視線が育ててくれたものなのではないだろうか。

  ハンガリーでの生活を経験した日本の人達が、カルチャーショックを受けながらも、仕事ではイライラさせられながらも、ちょっと日本とは違うな…どことは良く分からないけれど…・という何かを持ち帰ってくれたら、そして、それを頭の方隅で忘れずにいてくれたら、それらは、いつかその人の人生で意味を持つ時が来るような気がする。郷に入れば…と、どっぷりハンガリーに使ってしまった私はといえば、今更、日本の生活に適応する事は難しいと思うのだけれど…・。

 

★ハンガリーで生活を始めて、戸惑ったことや困った体験やカルチャーだったことはありますか?

留学先が田舎で、アジア人などまだほとんどいないような所だったので、どこに行っても視線がついて廻り参りました。悪意も何もない、ただの興味津々な視線なのだけれど、心底、透明人間になりたいと思いました。

それ以外のハンガリーでの出来事は、全く新しい世界での事なので、こういうものかと思いながら見ていたけれど、一番カルチャーショックを受けたは、改めて日本を見た時だったかもしれません。


★ハンガリーでの出産で興味深かった点、大変だった点などありますか。


妊娠中、まず、食事指導などの、指導とつくものがほとんどないのには、驚きました。保健婦さんが妊婦さんの様子も全て把握していますが、特別な事がない限り、予防的な指導はあまりされないような気がします。おかげで(?)、三男出産の時は20キロも太ってしまい、苦労しました。

入院先は普通の病院だったのですが、ベットを囲うカーテンなどが一切ないので、プライバシーもなにもなく、困るか・・・・・というと、その逆で、何処の病室もお母さん同士はとても仲良く、助け合っていたようでした。

日本人として戸惑うのは、医者や看護婦などへの謝礼でしょうか。ハンガリー人の夫に一切任せていましたが、自分で判断しなければならなかったとすると、困ったと思います。 謝礼というのは、あくまでも患者の方からのチップですが、暗黙の了解で、医者や看護婦などには金額や品物を手渡す習慣があります。あまり良い習慣ではなく、一応問題視はされていますが・・。もちろん、医者の中には、断固受け取らない人もいます。


★ハンガリーで子育てをしていて感じることはどんなところでしょう。

とにかく、ハンガリー人は子ども好きです。ですから、子どもがいれば、ハンガリーの生活はある意味では馴染みやすいかもしれません。周りのハンガリー人が、親切に対応してくれるので。
親や子どもに対する視線が温かく、「こうでなければならない」と見られる事がないので、気持ちも楽です。

それでも、躾に対しては、まだまだ、周りが知らない子どものことでも当然のように口を出すので、親だけが子育てをしているというよりは、周りも一緒になって子どもを育ててくれていると感じる場面が多いです。口を出された子どもも親も、それを大真面目に受け取るという風でもないので、上手く行っているのでしょうが。
 

★ハンガリー的な夫と母親との関係があればお聞かせください。

ハンガリー人の女性はとにかく強いです。母親となると、それは強烈です。ハンガリー語で「姑」と言うと、それだけで「ハハーン」と皆が納得する、共通概念があります。面倒見が良いと言うことでもあるのですが、距離を置いて住んだほうが良いでしょうね。そんな母親に育てられるせいか、ハンガリー人男性は優しいです。この優しさが、妻の尻に敷かれる夫を生み出しているようにも思えますが,同時に,おとなしく(見える)日本人女性を選ぶハンガリー人男性が 増えている理由のひとつかもしれません。(洪・日の国際結婚は増えています。)亡義母の名誉の為に添えますと、彼女は典型的な姑ではなく、助かりました。


★国や市町村の、出産育児、こそだて支援の違いは(助産婦訪問がある、保育園や学童が充実しているなど)

ここでは、妊娠が分かった時点から、地域の保健婦さんの元に所属するようになります。そして、その保健婦さんが、子どもが14歳(8年生の小学生の卒業児)になるまでの、子どもの健康状態を小児科医と共に記録し、把握してくれます。これは、親にとっても心強いシステムだと思います。出産直後は毎日、次第に日をあけて、母子の様子を見に来てくれるので,分からない事はなんでも質問でき、助かりました。

母親が働いていれば、または、その他の家庭の事情がある場合は、ほぼ全ての子どもが乳児保育園(0〜3歳)に入園できます。実際には、育児休暇が保障されているので、乳児保育園への入所はそれほど多くはないのですが。3歳以上の子どもであれば、母親が働いていなくても、幼児保育園に入園できます。子どもにとって何が必要か、ということが良く考えられているシステムだと思います。

 

★ヨーロッパには教育費や医療費が無料という国も多いようですが、ハンガリーはどうですか?

ハンガリーは、教育(保育園も含めて)と医療は全て無料です。歯科などで、入れ歯を作ったりするのはお金がかかります。大学は授業料がありますが、公立であれば、日本とは比べものにならない位、少額です。

子どもが3人もいると、医療費、教育費が全く無料というのは、本当に助かります。でもハンガリーの健康保険は北欧並に高額です。国の財政がきびしいので医療施設はまだまだ途上過程にあるのですが、医者の質は良いと思います。

 

★医療費、教育費が無料ということは、税金は高いということですね。人々の暮らし向きなどは、どうなのでしょうか?

はい。とにかく、ハンガリーは税金がすごく高いです。北欧は、それでも病院はきれいだし、サービスも整っているけれど、ハンガリーの病院は医者の腕はともかく、施設としてはまだまだです。

 医療費、教育費は無料でも、物価は西側と比べてもそう安いわけではありません。ものによっては高いものもあります。そして、肝心の収入は、西側国と比べものにならない位低いです。ただし、職種によってもかなりの差があります。

儲けられる職業と、儲けられない地道な職業(看護婦、教職員、店員・・・など)にはっきりを分かれているので、好きな仕事をしたいと思っても、それでは生活が苦しい・・・となる、矛盾があります。上手く強引に生きていく新金持層と、真面目な人、不器用な人、そして、特にこれといって技術をもたない普通の人達との間の経済格差がだんだんと開いて行っているので、それが社会全体に不安を生み出しています。離婚も多いですし。そんな経済的な不安定さ、夫婦間の不安定さなどのしわ寄せは、全て子どもにきますね。 

そんな訳で、ハンガリーでは経済的には決して子どもを育てるのは楽ではないです。収入のわりには、子育てにかかる諸費用(衣服代など)は決して安くないですから。国全体としては、少子化傾向にあるようです。



★ハンガリーには駐在員など日本人が結構いるのでしょうか?日本からの観光客も多いのですか?

ハンガリーは日本企業が多く入って来ているので、駐在員も多いです。日本人学校もあります。
日本からの観光客は、年々増えているようです



★ハンガリーの魅力は?

西側国のように発展して来なかったので、素朴な部分を国も国民も持っているところでしょうか。また、19世紀の始めにはヨーロッパで1,2を争うくらいに発展していた文化国だったのが、社会主義時代を経て貧しくなったことからくるプライドの高さが、教育や文化のレベル維持を努力しようとする面が、特に子どもの教育に関して見られます。一般ハンガリー人の一般教養度は、西側国の人と比べても高いものがあると思います。

農業国ですので、野菜や果物が安くて美味しいです。ハンガリー特有の、日本ではまだまだ知られていない料理がたくさんあるので、料理好きの人にはまらないでしょうね。



★現地の言葉の習得には苦労しましたか?


ハンガリー語の修得には今でも苦労していますが、言葉が分かると、この国や国民のことも分かるようになるので,面白さも増えていくように思います.ただ、ここまで来るのは大変でしたが、かなり努力したと自分でも思います。ちょっとハードルの高い仕事(通訳、翻訳)を引き受けるようにして、その為に必死で勉強しました。
 


 

★お子さんの日本語保持のために何かトライしていることがありますか?

私達の住んでいる場所が、日本人の全くいない場所なので、私の力では日本語を覚えさせるのは無理でした(姑との同居で親戚も近隣に住んでいたので、圧倒的にハンガリー語の獲得が早く、日本語の入るスキがなかった)。ですから、それならばと、日本人の子ども達が来る様に、国内・国際合宿を企画し始め、それがきっかけでかなりしゃべれるようになりました。また、民宿を始めたので、そのお客さん達のおかげもあって、会話程度は維持出来ています。やはり、同年代の子ども達との交流は、影響力が大きいです



★将来ハンガリーに住む方へのアドバイスがあったらお願いします。

まだまだ制度的には混乱している部分が多く、不便な思いをすることも多いでしょうが、それさえ覚悟していれば、ハンガリー人は大雑把で鷹揚ですし、食べ物は美味しいので、生活しやすい国ではないかと思います。日本人数も多すぎず、少なすぎずで、コミュニティーとしてもちょうど適度な大きさで、馴染み易いように思います。神経質な人には合わないケースもあるかも・・・・?


★最後に海外生活する方へのメッセージをお願いします。

外国での生活は、すぐに援助を求められる相手がそばにいなかったり(国際結婚の場合は夫とは言えども外人ですし、赴任の場合は夫には仕事があるけれども妻は家庭で孤立し易い)、将来の展望が見えず、特に最初の数年は孤独感に悩まされると思います。そんな時は、とにかく、「身近に友達を作らなくちゃ」と焦らないこと。「世界のどこかに、きっと気の合う友達はたくさんいる」と信じること。
もう一つは、子どもが小さくて身動きがとれない時こそ、自分がしたいことは何かな、ここで出来ることは何かな・・・・と自分の内面を見つめる時間に当て、できることを探してみるのも、子育てがひと段落した時にむけての準備期間と思えて良いかもしれません。

私の場合は、自分が支えていたと思っていた子ども達が、いつの間にか自分を支えてくれる力強い存在になっており、それも、ここでの生活を楽にしてくれました。

夫との関係も、100%理解して欲しい、100%理解したい、と思わなくなった辺りから、力が抜けて楽になったような気がします。「どう頑張っても、私には理解できないけど、あなたはそう考えるのね―」と思えるようになったので。

そして最後に、辛いな―と思う時は、それを乗り越えようなんて思わなくても、とりあえず、現状維持でも、その時が過ぎ去ってみれば、少しだけ自分の内面世界が広がっています。そんな事を繰り返していると、困難に出会った時「さー、私はこれをどうやって乗り越えて行くのだろうか!?」と何処か客観視できる様になっています。・・・単に、おばさん的な怖いもの無し状態になってしまう・・だけなのかもしれませんが・・・。いずれにしても、いろんな壁にぶつかるおかげで、それまでには知らなかった自分を発見しながらの生活です。

----------------------------------------------------------------------------

http://www.geocities.jp/childrenfoodworld/
サライさんがご友人と一緒に作っている海外在住者のために作っている食事と発達のページ。手作りせんぺいレシピや、屋外でお子さんと楽しみながら作れるアイスクリームなどなど楽しいアイデアがいっぱい。

homeA.gif (5011 バイト)