世界各国で子育て中のママが発信しているホームページを紹介して行きます。目指すは世界一周!

 

☆ インタビューに答えてくれる方:阿月まりさん

☆ 国:ポーランド

☆ ブログ:Sanmarie*com

☆ お子さんの年齢 :2004年&2006年生まれ

MCFH推薦コメント:個人のブログとは思えないほど充実しています。ブログの内容もポーランド情報はもちろん、映画、音楽、本、人生、女性など幅広いエッセイがとても魅力的です。

 

Sanmarie*com ブログより

<人生を楽しむ>

ポーランドに来て、0歳児を背負って登山する若夫婦や、朝から晩まで走り回っている元気な子供達、温泉も豪華・海の幸もない安宿で、ウォッカ・グラスを片手に、焚き火で焼いたソーセージをつまみ、歌い、踊りながら夜を明かす中高年夫婦のグループなどを見ていますと、『人生は、楽しむためにある』ということを、しみじみ感じずにいません。

享楽的な楽しみではなく、心が心地良いと感じる生き方をすることです。

日本ではよく言いますね。

「定年退職してから、夫婦であちこち旅行するのが夢だ」と。

でも、足腰が弱ってから(その頃には胃腸も弱って、満足に食べることもできないだろうし)、今まで我慢してきたことを一気に取り返そうとしても、徹夜で仲間と飲み明かしたり、2000メートル級の山を踏破したり、スキーを楽しんだり、出来ない事の方がうんと多いんじゃないかと思います。

若さや健康は買い戻せませんし、子供達と過ごせる時間もほんの束の間です。

今、味わうべき楽しみを後回しにして、それで本当に後悔はないのか、しばしば考えさせられます。

ポーランドの伝統的なジョーク(?)に、次のようなものがあります

『スープに小バエが浮いた時。

ポーランド人は、そこだけスプーンですくって、食べる。

アメリカ人は、スープ皿ごと捨てる。

ロシア人は、小バエについたスープをしゃぶってから、ハエを捨てる』

言い当てていると思います。

『日本人は、ハエを捨てるか、どうするか、周りを見ながら考え込んで、結局、何もできないまま、冷めて美味しくなくなったスープを我慢して飲む』


そんな面がなきにしもあらず、と思います。


「休み」というのは、仕事や勉強から距離を置くためにあるのではない。

いつもの日常から離れて、人生をより深く、楽しく体験するためにあるのだと思います。

休める機会があれば、それをぜひ未知なる体験、できれば子供とともに楽しんで頂けたらと思います

ポーランドに住むことになった理由をよろしかったら教えてください。

遠距離交際時、アメリカ在住だった夫がポーランドに帰国するのにあわせて、こちらに移住しました。

 

永住のご予定ですか?

はい。ポーランドには永住する予定です。




お子さんの年齢を教えていただけますか?

2004年生まれの息子と2006年生まれの娘がいます。
 


大変充実したブログですが、ブログを始められたきっかけ、年度を教えてください。

パソコンを購入した頃は、当時大流行だった通信サーブのフォーラムにせっせと投稿していたのですが、それだけでは物足りなくなって、1998年秋に自身のホームページ『Clair de Lune』を立ち上げたのが始まりです。それからは「作っては潰し」の繰り返しでしたが、『Wordpress』というブログツールとの出会いがきっかけで、自分の理想とするスタイルがようやく実現できたという感じです。



ポーランドに暮らし始めた頃にカルチャーショックのようなものがありましたが、ショックとまでは言わなくとも、どんなことに驚きや戸惑いを感じましたか。

私の場合、「カルチャー」よりも「物質ショック」の方がはるかに大きかったです。

日本に居た時は大都市に住み、情報誌片手に、バレエだ、グルメだ、ファッションだ、とあちこち飛び回っていましたし、
スーパーに行けば、通販のカタログをめくれば、いつでも上質で、お洒落なものがいくらでも手に入りましたから、ポーランドの片隅の地方都市に来て、遊ぶ所もない、百貨店もない、コンビニもない、娯楽といえばホームパーティー、キャンプ、グリルというようなライフスタイルに戸惑うことが多かったです。

わけても、医療施設に対するショックは相当なものでした。

10人ぐらいのスタッフが居並ぶ前で、仕切りカーテンも、電動式の上下可動もない、金具の錆び付いたような内診台によじのぼるようにして上がり、診察を受けた時、「ああ、ここはポーランドなんだ」と腹を括りました。

産褥用の生理パッドもなく、みんな、ごわごわの衛生紙を折りたたんで使っていましたし、妊娠して間もなく、周りのママさんに「マタニティ用の下着を買いそろえたい」と言ったら、「そんなもの、ここにはないわ。聞いたこともないし。普通のサイズで間に合わないなら、XLか、男物でも着なさい。 みんなそうしてるわよ」とあっさり言われたこともあります。トイレに行ったらトイレットペーパーがなくて、「あの〜、ペーパーが無いんですけど」と聞いたら、「そこにあるじゃない」と言われ、指差された方を見たら手拭き用のペーパータオルがぶら下がっていた・・というのも、当時はショックでしたね。

そうか、ここではトイレットペーパーも自前なんだ、って。電動式の分娩台やウォッシュレット付きトイレ、ホテルのようにゴージャスな個人病院のあの世界はもう忘れないといけないんだ、って。来た当初のことを思えば、ずいぶん鍛えられたと思います。

 


ポーランドの好きな点、嫌いな点をそれぞれ教えてください。

好きなところは、余計な干渉がなく、のびのびと個性を発揮でき、「No」と言っても角が立たない、そのくせ温かみがあるという点です。

子育てについても、周りが「ああしろ、こうしろ」と口を突っ込んでくることはなく、「あなたは、そういうやり方なのね」と相手のスタンスを尊重し、必要な時だけ手を貸すという感じで、本当にラクです。

嫌いな点は、秋冬が長く、寒くて、日がすぐに暮れてしまうことです。何週間も曇り空が続けば、やはり気持ちが鬱々となります。
 



ポーランド人気質というような点はありますか?

素朴で、誠実な印象を受けます。でも根は陽気で、大らかで、お祭りの時のはしゃぎっぷりには本当に驚かされます。



ポーランドで最近話題になっている社会問題はどんなことですか?失業率10%とのことですが、ポーランドの若者たちは、どんな希望を持って暮らしているのでしょうか? 

現在、失業率は、10%台まで改善してきています。庶民レベルでは、やはりインフレです。ユーロ導入を視野にいれた経済政策がなされているので、西欧先進国のレベルに合わせるために物価が著しく上昇しています。が、一方で、経済状態が緩やかに改善しているのも事実であり、すべてにおいて悲観的というわけではありません。

しかしながら、有能な若者の海外流出に歯止めをかけるまでには至らず、やる気のある子は外国語を身につけ、アメリカやドイツ、イギリスなどにどんどん出て行って、そのまま定住してしまう傾向は相変わらず続いています。(一方で帰国組も相次いでいるのですが)

海外移住に希望を見出す派もいれば、家族や友人に囲まれた地元での素朴な暮らしを好む派もあり、幸福の価値は人それぞれという感じです。

 

失業率が高く、寒く、午後3時には日が沈んでしまうような生活の中で人々の楽しみとは、どんなことでしょうか。

家族でDVD映画を鑑賞したり(質素なアパート暮らしでも、TVは大型液晶、ドルビーサウンドの本格的なホームシアターセットをどーんと買いそろえている家庭がけっこう多い。価格もそれほど高くないので、それだけ需要があるということでしょう)お菓子作りに凝ったり、ホームパーティーを楽しむ人がいる一方、水泳やジム通いで、運動不足の解消に努める人も多いです。

社交ダンス教室や語学スクールなども人気があります。中には、この時期を利用して、語学や数学などの家庭教師をつけ、子供の学力アップを計る親御さんもあります。
 


ポーランド人の日本に対するイメージ、知識などはどうでしょうか?日本企業などはありますか?また日本人はマイノリティーだと思いますが、人々の向ける視線はどうでしょうか。

私の周囲では、「日本人は空手が得意で、いつも着物を着ており、毎日寿司を食べながらクロサワの侍映画(黒澤監督作品)を見ている」という想像をしている人が大半でした。

概して、「真面目、勤勉、優秀」と思われているようですが、最近では、秋葉原のメイド喫茶やアニメのコスプレ、熟年離婚の急増や非正規雇用の問題などがニュースで報道されたりしているので、「違う・・」と気付き始めている人も多いようです。
日本企業は西側に積極に進出しており、これからも規模は拡大していくと思います。

日本人に対しては好意的で、日本車に対するイメージがそのまま受け継がれているような感じです。

 

ポーランドで出産するにあたっての不安はありませんでしたか。

看護学校で母性看護や小児看護は一通り勉強していましたし、産科病棟で働いた経験もありましたから、お産そのものに対する不安はほとんどありませんでした。ただ、ポーランドは医療財政に大きな問題を抱えており、地方の公立病院に関しては、設備、システムとも非常に厳しいものがあります。

医師をはじめ従業員が賃上げ要求の一斉ストライキに入り、何ヶ月も外来診察がストップしてしまう状況も珍しくありません。
医療そのものに対する認識も日本のそれとは大きく違っているように感じます。

具体例をあげれば、

「内診台にも患者用ベッドにも仕切りのカーテンがない」
「回診は10人ぐらいのスタッフの前で行われる」
「自然分娩の場合、日本の分娩台とは違い、フラットな寝台の上で、自分で両膝を抱え込むようにして出産する」
「産後、看護婦が患者の様子を観察しない(日本ではバイタルサインのチェックや産褥パッドの交換、患部の観察などが徹底していますが)」
「食事は朝夕パンとチーズとハムのみ、昼にスープと肉とジャガイモが支給されるだけ」等々、

日本の病院事情と比べたら唖然とすることも多いです。

また、こちらは希望帝王切開が多数を占め、自然分娩を希望すると「ほんとに自然でいいんですか?」と念を押されるようなところですから、日本的な「自然第一」の価値観にこだわらない方がいいかもしれません。

 

お子さんには何語を教えていらっしゃいますか?

私は日本語、夫はポーランド語で話しかけています。日本語教育は、子供の様子を見ながら、ちょっとずつですね。教材を突きつけて教えることより、日常の会話を重視しています。意識している点は、

「One parent, One languageを貫く」

「子供が単語の羅列で答えたら、きちんとした文章に直して復唱する」
(『欲しいの、ミルク、冷たいの』と言ったら、『冷たいミルクが欲しいのね』)


「なるべく標準語のきちっとした言葉で話す」
(『手袋、あらへんやん』ではなく、『手袋がないわよ』。関西弁丸出しの時もありますけども)



ポーランド人の一般的な子育てで何か驚くようなこと、日本とは全然違うと思うことはありますか。子育てをしていて感じる日本の親子関係や家族関係の違いは?夫婦の平均の子どもの数は?

私の住んでいる地域に限って言えば、「子供は大事だけど、子育てにそこまで頓着しない」という人が多いですね。大人の生活の一部に子育てがある──とでも言うのでしょうか。つかず離れずの距離感で、あれこれ気構えることなく子育てしているという印象を受けます。

その背景には、「義務教育のレベルが高く、安心して子供を公立学校に通わせられる」「子供同士で夜に出歩いたり、溜まり場にするような場所がない」「犯罪を誘発するような情報が子供の目の付く所に入らない」といった社会的な理由も大きいと思います。

また、父親の帰宅が早く、家族一緒に過ごす時間が長いこと、ホームパーティーを通じて親族や友人間の交流が盛んなことも子供に良い影響を与えていると思います。こちらも共働き家庭が多いことから少子化が進んでいますが、日本と決定的に違うのは、「妻側寄りのライフスタイル」ですね。

結婚後は妻の実家に近い所に住むか、夫が妻の両親と同居し、妻の実家の援助を得て子育てするケースが多いです。だからママさんたちも煮詰まることがなく、のびのび子育てできるのでしょう。とはいえ、これは私の住んでいる地域に限った話なので、場所によっては事情も大きく異なるかもしれません。全体を見渡せば、教師やクラスメートに対する暴行、恐喝、ドラッグやフーリガン問題、幼児虐待などもあり、その理由として、親のアルコール依存やネット中毒による育児放棄、家庭内不和などが指摘されています。

 

経済的には、日本の方がはるかに恵まれていると思いますが、ポーランドから日本を眺めて、これはポーランドの方が優れている、良いというような点はありますか?

助け合いの精神に富んでいる点でしょう。親族、友人は言うに及ばず、バスで隣り合わせた者同士でも、「困った人にはすぐに手を貸す」という姿勢があり、「見て見ぬ振り」みたいなところがないのは本当に有り難いと思います。ついで言えば、子連れに優しいです。

あと、外国人に対して、「とっさの英会話」が出てくる点がすごいと思います。たとえ片言しか話せなくても、何十年も前に学業を卒業したようなおばあさんでも、知っている限りの英単語を並べて、一所懸命に外国人とコミュニケーションを図ろうとされる、その気持ちが有り難いです。

また道を歩いていると、知らない子供にも、現地語で「こんにちは」と挨拶されることが多いです。恐らく、学校で、そのような教育をされているのでしょう。最初はそれに気付かなくて、挨拶される度に「どこの子やったかなー」と考え込んだくらいです。

 

私の知り合いのロシア人で、ポーランドによく訪れている方がいますが、その方が、「最近のポーランドはすっかり変わってしまった。人々の芸術に対するリスペクトが荒廃してしまった。」というようなことをおっしゃっていましたが、それほど人々の心は荒廃しているのでしょうか。

日本に「戦争を知らない子供たち」という言葉があるように、ポーランドでも「旧体制を知らない世代」というのが確実に増えてきています。

「旧体制を知らない世代」とは、生まれた時から外資系の大手スーパーで食料品でも衣類でも何でもより取り見取りで、情報や自由を規制されることもない。生活物資はすべて配給制で、ミルクもチーズも銘柄は一つしかなく、ソーセージ一本買う為に店の外に何時間も長蛇の列をなし、品不足は当たり前……という時代を知らない若年層です。

そういう若い世代が、旧体制崩壊後、どっと入り込んできた先進国の若者文化やライフスタイルにかぶれて、ポーランドの伝統的な文化や暮らしに見向きもしなくなった点が、厳しい時代を生き抜いた世代、あるいは古き佳きポーランドを知っている人々から見れば、「リスペクトが荒廃した」と感じるのかもしれません。

精神の荒廃というよりは、「今時の若いモンは……」みたいな世代間のギャップにも感じますし、自由経済の下で育った若い世代が、旧体制の人間とはまったく異なる価値観を持っていたとしても、それは「止められない時代の流れ」ではないかな、と思ったりもします。

それでも、四季折々の伝統行事や宗教は生活の中にしっかり取り入れられていますし、信仰心の篤い人も多いです。
吹雪いているような日でも、教会の中に入りきれない人々が、入り口付近を取り巻くようにして日曜礼拝に耳を傾けている姿も当たり前のようにあります。

日本人の私から見れば、まだまだ「伝統と宗教を重んじる国」という印象があります。

 

これからポーランドに住む方へのアドバイスが何かありましたらお願いいたします。

今はインターネット・サービスや通販が充実し、お金さえかければ、サテライトで日本の番組を見ながら、無料で日本の友人とチャットし、着るものも食べるものも全て日本製……みたいな暮らしが普通に手に入る時代です。またポーランド自体も著しく進展し、昔の在住者の苦労を思えば格段に暮らしやすくなっていますから、医療福祉の不備を除けば、「海外」ということをそれほど強く意識することなく生活できるのではないでしょうか。

ただ、一人の人間としての精神生活となると話は別で、自分の身の回りの平和だけ考えて暮らしていたら、いつか孤立して行き詰まると思います。

何でもいいから、人の役に立つこと、自分にできる仕事を見つけることが、幸せに生きて行く鍵ですね。「ホームパーティを開いて、周りの人をどんどん招待する」「幼稚園のイベントに協力する」「地元のサークル活動に参加する」「近所の子供達に声かけして、日本人の楽しいオバチャンになる」etc。いろんな方法があると思います。

語学のレベル云々よりも、現地の人たちとどれだけコミュニケーションを図る気持ちがあるか、周囲はそこを見ているのです。
周りに対して心が開いてなければ、海外生活は苦痛以外の何ものでもありません。一番大切なのは、「その地で生きていく気持ち(覚悟ではなく愛情)があるかどうか」だと思います。

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