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                               はじめに

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海外旅行、海外赴任など海外渡航は、近年では特別なことではなくなりました。1999年の統計によると、3か月以上の長期海外滞在者が約51万5千人、海外永住者が約28万人、海外旅行者は約1,600万人に達しています。誰もが海外へ行く可能性のある時代になったといえるでしょう。

 海外で充実した日々を送るためには、健康的に生活を過ごせることが大切です。そこでは、身体的に健康であるのみならず、精神的、さらには社会的にも健康であることが必要です。特に、勤務者本人以上にその家族のメンタルヘルス (心の健康)は、配慮が必要なものとして位置づけられています。

 

海外赴任と家族のメンタルヘルス

 海外赴任は、勤務者当人だけではなく、その家族(配偶者、子ども)にとっても大きな状況変化をもたら します。それらには、気候・風土などの地理的条件に始まり、風俗習慣・宗教・言語といった文化的条件、衛生環境・治安・食生活などの環境条件、さらには勤労条件・現地 邦人社会での対人関係など、様々なものが含まれます。


 こういった状況変化には、プラスの側面と同時にマイナスの側面、いわゆる個人にとって「ストレス」として作用する側面も少なくありません。一定期間の海外滞在には、精神疾患の既往のない人をも発病に導く可能性のあるストレス強度の存在が指摘されています。では、海外赴任に伴う種々のストレスをよりプラスの方向にもっていくには、具体的にどのような配慮が必要でしょうか。以下、勤務者の配偶者(妻)、子ども、勤務者本人の三者に分けて、具体的なケースを例示しながら、海外生活を送るうえで、メンタルヘルス上のポイント事項について解説します(ケースはプライバシーへの配慮から、主旨に影響がない範囲で適宜変更を加えてあります)。