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ノーラ コーリ<海外出産・育児コンサルタント>講演より

はじめに

 海外での出産・子育てを中心に、お話を進めさせていただきます。

 最初に心にとどめておかなければならないのは、医療システムの違いです。海外、特に先進国では、まず自分の掛かっているホームドクターのところへ行って、そこから専門医を紹介してもらうというシステムが一般的です。

 例えば、子どもが大きなけがをした場合、直接近くの病院へ運んでも、ホームドクターが提携していない病院では、改めて別の病院へ運ばなければならなかったり、その病院で処置することができずに何時間も待たされることになったりしますから、命にかかわることにもなりかねず、医療システムの違いを知っておくとことが極めて大切です。


年々増えつつある海外出産

 海外での出産は言葉の壁があり、情報量や頼れる人も限られる上に、妊娠健診や分娩法の違いもあって、一大決心を伴うものです。したがって、帰国して出産したいという方が出てもやむを得ないと思います。

 帰国を選ぶ人の理由としては、その国の衛生状態や輸血の問題が心配であるとか、信頼できる医師が見つからないとか、あるいは最近のインドネシアのように、いつ出国できるか分からないという状況におかれたり、神経質な方では、初産ということで日本の母親から帰国出産を勧められたからというように、さまざまです。しかし、夫婦で一緒に赤ちゃんを迎えたいと望む人や、家族の絆を重んじて、思い切って現地で出産したいという希望をもたれる方も多く、海外出産は年々増える傾向にあります。


海外で妊娠したとき

 海外で妊娠が分かったら、まずホームドクターに知らせて、そこから専門医なり助産婦さんなりを選んでもらうことになります。日本で最も難しいのは、症状によって自分で専門医を選ばなければいけないことですが、多くの先進国ではホームドクター制度があって、症状別にその人にふさわしい専門医の情報をもっています。ですから、この症状ではどの専門医がよいのだろうかと、素人判断で迷う必要はなく、妊婦がまず行くのもオフィスのようなホームドクターのクリニックですから、それほど詳しい検査機械のようなものはありません。

 海外で日本人が出産する場合、病院がやはり多くなっていますが、自宅分娩の方も増えています。オランダでは36%が自宅分娩ということで、チャレンジしている日本の方もいます。同国の病院では外来という形でしか出産できないのですが、日本人の場合はやはり病院を選んでいるケースが多いようです。

 途上国でも、日本人が掛かる病院は外国人向けの設備が整った病院が多いのですが、それでもスタッフの一部には、衛生面の扱いが少しどうかなと思うようなところがあるのも事実です。タイなどでは日本語を話すスタッフもいますし、医師が日本語を話すことも多いので、良い医師さえ見つかれば現地で安心したお産に臨めると思います。

 妊娠後の健診も、海外ではアポイントが3か月先になるというようなことがあります。特にイギリスなどでは、初期の段階で流産してしまった場合は、自然淘汰と見なしています。日本ではおそらく子宮が収縮するのを抑える薬を与えたり、いろいろと手を施すと思いますが、これには医療保険の違いも関連しているようです。

 氏田先生も、海外では必要以上に検査をしないという話をされましたが、超音波などをあまりしないのは保険が効かないという理由もあります。例えば、羊水検査なども、「あなたの場合は35歳を過ぎているので、よかったら羊水検査をしますか」と患者に聞いてきます。日本なら強制的に「してください」という言い方になるところかも知れませんが、患者に選択権を与えてくれます。そこで、保険会社に保険でカバーされているかどうか確認して、自分で判断することになります。

 内診も出産直前にならないとしないことが多く、これはやはり女性にとって非常に屈辱的だというメンタルケア面への配慮や、初期の段階では流産の恐れがあるので控えているということです。

 母子健康手帳については、海外にもそれぞれ同様なものがありますが、現地の言葉が分からないこともあるので、日本の母子健康手帳に自分で記録するのが最もよいのではないかと思います。


海外での出産

 海外で出産する場合は、バースプランを文書で出すことを勧めます。出産の立会人はどうするのか、無痛分娩を希望するのか、あるいは出産後、母子同室がよいのか、母乳で育てたいのかというようなことで、希望があれば提出しておかなければなりません。何も言わないと、夜中に病院側の方針でミルクを飲ませたりしますから、なかなか自分の思うような母乳育児ができなくなったりします。日本では、情報は何でも与えられるのが一般的ですが、海外では、分からないことは医師に聞くなり、自分から情報を探していく姿勢が大切です。知らなかったでは済まされないこともありますので。

 子どもの名前については、日本では赤ちゃんの顔を見ながら2週間くらい余裕をもって決めるのが普通ですが、海外の場合多くは、病院側で出生証明書を発行して、そのままインターネットなどで自治体に登録してくれる制度がありますから、あらかじめ決めておいた方がよいようです。ほとんどの場合は出産当日、赤ちゃんのベッドに名前が入るようになっています。また、欧米などではミドルネームを付ける習慣がありますから、海外出産の記念としてそのような名前も考えてあげたらよいと思います。
 出産入院は2泊3日と短いのが普通ですが、国によって、特に私立病院の場合は延期できるところもありますので、経済的に余裕があれば、そういう希望も出してみてはいかがでしょうか。

 アメリカの場合、妊娠から出産、産後までカバーする保険がありますが、保険が効くのは2泊までで、3泊目からは自己負担になることもあって、やはり早く退院しています。

 オランダでは退院後のフォローもきちんとあり、最初の小水が出て4時間ほどで帰されますが、看護婦が自宅まで付いてきてくれ、翌日からも毎日5時間なり8時間なり産後専門の看護婦がいてくれますので、非常に安心です。

 日本の方のなかには、病院内では言葉が分からないので緊張して母乳が出なくなったり、食事が合わなかったりしたので、早い退院でかえってよかったという人もいます。

 また、海外では無痛分娩が勧められており一般的です。回復が早いということもあって、手伝いをなかなか得られない人たちのなかには、無痛分娩を選び、翌日にはスーパーへ行けるくらい回復が早くてよかったというコメントもあります。

 次に、海外では、日本と現地の両方に出生届を出さなくてはなりません。日本では3か月以内の届け出となっていますので、この辺も伝えていただきたいと思います。また、政治が不安定な国では、いつ出国を命じられるか分かりません。その際、赤ちゃんの出生届を出してパスポートを持っていないと出国できなくなります。パスポートは、現地ではその子の身分証明書となりますし、ほかにビザと子どもの医療保険の申請を済ませて、やっと安心できることになりますので、3か月ぎりぎりまで待つのではなく、ぜひ早いうちに手配するように伝えてください。

 上のスライドは、ドイツの公立病院でクリニックの医師と病院の宿直担当医、産婦人科専門医、看護婦が映っています。ドイツでは、妊娠中診てくれた先生が出産のとき必ずしも立ち会わないシステムになっていますが、国によっては、出産時も病院で立ち会うという制度をとっているところもあります。

同じ病院ですが、病院というところは妊婦が希望するものをそろえていることを覚えておいてください。例えばアクティブバースがしたいということで、綱を欲しいと言えば綱を出してくれます。

上のスライドは自然分娩を重視するイギリスの病院です。ベッドはキングサイズで、父親と母親、その間に赤ちゃんが一緒に寝ることができます。

上のスライドはバースプールで、すごい勢いでお湯が出て瞬時に一杯になるようになっています。プールの後ろにあるのはビーンバッグといって、陣痛の間、好きな姿勢で寄り掛かって過ごせます。

私自身は、英語が分かるという利点をもっているのですが、昨年オランダ、フランス、韓国へ視察に行ったとき、いずれの国もそれほど英語が通じないので、大変困ったことがありまして、言葉が分からないというのは、このような状態を指すんだということを痛感しました。

上のスライドは韓国の病院です。韓国では、夫が出産に立ち会うことはなかなかできません。今回、実際に見て初めて分かったのですが、陣痛室には何人もの人たちが一部屋に入っている上、ベッドとベッドの間がとても狭いし、妊婦が元気に声を張り上げているんです。韓国では、大きな声を出して苦しむほど元気な赤ちゃんが産まれると信じられているので、とてもすごい声を出します。こういう環境では、なかなか夫の立ち会いを認められないはずだと納得しましたが、外国人の場合は、希望すれば少し配慮をしてもらえます。

 スライドは産まれたての赤ちゃんで、女の子です。午前中と夕方近くに病院を訪ねましたが、夕方はほとんど赤ちゃんは産まれていない状態で、やはり計画的なお産が行われているという印象を受けました。また、韓国では帝王切開もかなり高い割合で行われています。

同じく韓国の赤ちゃんで、キルティングでぐるぐる巻きにされており、かなり温かいようです。また、しっかり覆われているので、安心感もあるということです。

スライドは、オンドルという石の床暖房で産後の人が身体を温め、回復に向けてここで療養をします。

韓国では付添人の仕組みが進んでいて、付き添いがないと入院もできない環境ですが、スライドは付添人のベッドです。

海外へ持参するもの

 海外へ持参するものについては、母子衛生研究会から「海外子育てのための携行品ガイド」が発行されていますから、機会があればご覧になるとよいと思います。

 同ガイドはガーゼハンカチや、上下に分かれている日本製のベビー服が役に立ったなどという生の声を集めてまとめています。

 一般的に、日本のものは質が高く、丈夫で長持ちし、肌が敏感な赤ちゃんに安心な綿製品が多いといえます。布おむつを使う方は、日本から持参することをお勧めします。

 海外のベビー服は上から下までのつなぎが多く、前部分は開かずに後ろが開き、おむつチェックは後ろからというように作られています。日本人は慣れていないので着せにくいようですが、現地の方は着せやすいと言います。何事も慣れようですから、現地なりの着せ方や工夫に早く慣れてしまうというフレキシビリティをもつ方がよいと思います。少し変わった例を上げると、中国では子どもがお尻を出せば用をたせる股割れパンツがあります。こういうものを着させられる幼稚園へは、子どもを入れられないと感じた母親もいました。

 子どもを連れていく場合は応急手当や、下痢のとき何を食べさせたらよいのかというような軽い症状の対処法を簡単に調べられる育児書を持参するとよいと思います。国内のように気軽に母親に聞くというわけにもいきませんので。
 薬については、子ども用のものを持参することをお勧めします。また、海外の薬は強いとよく言われますが、それだけ効くという意味合いもあるので、その辺は判断次第ということになります。


治療法の違い

 海外の場合は、痛みを与えない治療法が主流です。例えば、私の娘が国内で中耳炎になったとき、はれた鼓膜を破る治療によって痛い思いをしましたが、息子がシンガポールで掛かったときには、抗生物質と痛み止めが出て、1回の通院で治ったことがあります。また、通院回数も日本では多くなりがちです。日本の治療法がよいケースも、海外の方法がよいケースもありますので、あとは結果を見て判断することになります。いずれにしても、国によって治療方法が異なるということを、よく認識していただきたいと思います。

 健康な子どものクリニックについては、私の視察範囲では、イギリスとオランダに日本の保健所のようなところがあり、3か月健診、6か月、9か月と順を追って医師が教えてくれます。そこで、発育チェック、予防接種、栄養相談などを行っているので、そのようなところがある場合は利用するとよいでしょう。

 ただ、言葉の発達チェックでは、子どもが家庭で日本語しか学んでいないときは、母親が保健婦と子どもの間に介在して、相互の言葉を伝えるなどのフォローが大切になります。


帰国後の問題

 子どもが赤ちゃんのとき海外へ行ったり、海外で産まれた場合は、子どもにとって日本は異国に映っており、帰国後は新たな問題に直面するということを頭に入れていただきたいと思います。

 特に途上国育ちの子どものショックが大きいようです。途上国では自分の部屋やプールがあったり、運転手や使用人がいたりするので、帰国後アイロンかけをしている母親の姿を見て、「ママはメイドになったの?」とか「急に貧乏になったの?」とか言ったりします。子どもなりに不安を感じていますから、心のケアをしてあげることが大切です。


海外での子育て

 子育てについて、以下スライドを入れながら話を進めます。
 オランダの保健所で2つ一度にワクチンを打っている様子ですが、四種混合を受けており、足のところに打っています。左側にもう1つ、同じ日時に打っています(下写真右側)。

下のスライドは、イギリスの保健婦が女の子の体重を量っているところです。保健婦の格好は親しみやすく、スケールも面白い形をしています。

次は積み木をどのように積めるか、指先の機能を調べる発達チェックです。母親が必ず付き添って保健婦の言葉を訳して子どもに伝えます。

下のスライドはオランダの助産婦が毎日赤ちゃんの様子を見にきて、デジタルでなく簡単な携帯用はかりで体重を量っているところです。

次は産後専門の看護婦が当日の報告を受け、メモにまとめているスライドです。各家庭で看護するわけですから、看護婦の腰に負担を与えないように、ベッドを腰げたの上に乗せています。こうした産後必要な1週間くらいしか使わないものは、レンタルになっていてすべて保険でまかなわれます。オランダ人の場合は、出産も保険が効くので出産費用はゼロということです。

下のスライドはオランダの赤ちゃんを入れるバスタブですが、母親の腰の負担を軽くするため上がるようになっています。

 ヨーロッパにはまだ古い街並みが残っていて石畳も多く、下のスライドのようにしっかりした車輪の付いたベビーカーでないと、頭がガタガタ振動していまいます。国・地域や気候ごと土地に合った育児製品が売られているという一例です。


 ドイツでは、産まれて間もない赤ちゃんも日光浴をさせます。シープスキンにすっぽりくるんで顔だけのぞかせ、マイナス温度でも外に出しています。

 なかよし会の3歳児グループを撮ったものですが、海外にはこのようなサポートグループもあるので、日本語の発達や情報交換をする上でも、入るとよいと思います。



送る側の心構え

 送り出す側はコーディネーター的立場でよいと思います。世界の情報すべてを知るのは無理なことですし、体験的な話が一番なのですが、200か国すべてに3年以上住むのは不可能です。また、手許に情報があっても、それを更新するのは大変なことです。したがって、情報をもっている人や機関とのネットワークづくりにぜひ力を注いでいただきたいと思います。また、手許にない情報のうち、現地に着いてからでも遅くないものや、実際に見なくては分からないものもあることを教えてあげてください。こうした情報は、本人が現地で積極的に調べるようアドバイスするとよいと思います。

 体験者の話を聞く場合は、現地に3年以上住まわれた方や、帰国後3年以内の方を選ばれるとよいと思います。1年や1年半の滞在で大変な時期だけを過ごして帰国すると、あまりよい印象を伝えられないものです。また、積極的とか消極的というような性格面や、子どもの年齢、子育ての方針、生活スタイルなどさまざまな要因がその人の海外生活を形づくるものなので、あくまでも一体験者の話として聞くことが大事です。

 また、本人が情報を得られる方法をサポートすることも、アドバイザーとして心がけて欲しいと思います。情報をもっている人を直接知らなくても、現地での子育て情報を流しているHPがたくさんあるので(私自身のHPのリンクにもあります)、そうしたネットを利用して情報を得ることができます。あるいは、各国各都市にといってよいほど、子育てをしている日本の方がいますから、そういう人に問い合わせするのも方法ですし、現地に着いてからサポートしてもらえる利点もあります。海外で子育てをしている人の間でネット上のつながりが作れれば、大変心強いと思います。

 最近では、皆さん一般情報については比較的よく手に入れていますが、個人のニーズに合った情報、例えば子どもにアレルギー障害があるとか、耳のヒアリングの問題を指摘されたとか、発達の面で遅れているけれど行く先々の国にフォローしてくれる機関があるかというような、具体的情報を求める傾向があります。

 さらに、アドバイザーとしては、海外へ赴任される方に対し、積極的な姿勢をもつように仕向けることも大事な役割です。海外で暮らすというのは滅多にないチャンスですし、子どもを通して異文化に接することもできます。もちろん、ネガティブな面や気を付けなければいけないことは伝えなければなりませんが、それを克服する方法などをフォローすればよいと思います。

 また、海外では頼れるのは夫婦だけという状況も出てくるので、家族の絆が深まるというメリットもあります。

 最後に、私自身の著書では、海外に着いて最初の6か月間の英会話を集めた「海外で暮らすためのとりあえず英会話」という本があります。また、使用人を使った経験のない日本人は途上国でトラブルが多く、それが精神的な負担につながり、子どもへの影響も出てきますので、「使用人との上手な付き合い方」という本も書いています。このような本もお役に立てていただければ幸いです。

 


氏田 由可氏講演より
<労働福祉事業団海外勤務健康管理センター 研修交流部小児科医>

 

妊娠・出産について

妊娠・出産に関する問題点

  • 安心して出産できる医療施設がない

  • 妊産婦健診制度がない

  • 分娩をはじめ、周産期管理の方法などが日本と異なる

  • 家族のサポートが受けられない

  • 夫が単身赴任となることがある

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 ベトナムやカンボジアのような途上国でも、都市部の外国人向けクリニックや大きな総合病院での普通分娩であれば、何とかなるかなという印象です。ただ帝王切開や何か問題のある異常分娩の場合は輸血のリスクも考慮して、日本での出産が原則になると思います。

 また、日本の妊産婦健診制度では、無料で健診を受けられますが、そのような制度は外国、特に途上国ではありません。超音波の検査も何か問題がない限り行わないことが多いので、そのような健診のやり方の違いも不安材料になるようです。

 入院期間も日本は普通分娩で5日から1週間、帝王切開で10日から2週間くらいですが、先進国でも途上国でも普通分娩なら2〜3日で退院になります。どちらかといえば、日本の方が特殊であり、海外は医療保険がないということもあって、一般的に入院期間は短くなっています。
 海外の出産での大きな問題は家族のサポートが受けられないという点です。メイドを雇って楽になるケースもありますが、歯車が合わず逆にストレスになることも少なくないようです。

 一方、帰国して出産すると決めても、妊娠33週を過ぎてしまうと飛行機には簡単に乗れなくなります。また、帰国して出産したのち、生まれて間もない赤ちゃんを飛行機に乗せることはできませんから、数か月間は父親が子どもに会えません。その結果、父親が自分の子どもと思えなかったとか、子どもがはじめ父親と思わなかったということもあるので、妊娠・出産に関してはその家族の生活スタイル、赴任先、仕事などすべてを考慮して、ケースバイケースで対応していかなければならないと思います。


成長・発達に関する問題

 日本では3〜4か月健診、1歳半健診というように、保健所および市町村から知らせがきて、無料で乳幼児健診を受けることのできる制度がありますが、このような親切な国はほかにはありませんので、気づかないでいると乳幼児健診を受けないまま過ぎてしまいます。

成長・発達に関する問題点

  • 乳幼児健診制度がない

  • 先天性代謝異常スクリーニングができない

  • 神経学的発達・言語発達の評価ができない

  • 問題点が見つかった場合のフォローができない

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 成長とか発達でもし何か問題があった場合、気づかずに手遅れになることもありますから、定期的な健診は重要です。かかりつけの医師に相談し、定期的な体重や身長の測定や発達チェックを自分で意識して進めていかなければなりません。

 また、先天性代謝異常スクリーニングについても、日本では生後1週間くらいに踵(かかと)から血を採って検査をしたり、7か月くらいで神経芽細胞腫の検査をしますが、そんなことを公費でやっている国は、まずないと思います。全員のスクリーニングをすることの是非は別にして、上の子は日本で検査をしてもらえたのに、現地で生まれた下の子は検査をしていません、という問い合わせをたまに受けることがあります。現地でも、この検査は可能ですが、費用はかなり高いと思います。あまりリスクが高くなければ全員がやる必要はないのですが、いずれにしても母親が自覚していなければ受けられないわけです。

 次に、言葉の発達を評価する難しさがあります。外国に住んでいる子どもでも、日本語で評価するのが最も適切だと思いますが、外国で日本語を使って発達評価のできる小児科医はまずいません。そのため、言葉がきちんと発達しているかどうかの評価ができないまま、気がつくと3歳になってもまだ単語しか話せないというケースに出会うことがあります。こうなると帰国してリハビリを受けてもらうほかありません。現地での評価が無理であれば、一時帰国のときになど日本の医療機関でチェックをしないと手遅れになることがあります。

 バイリンガルの場合は評価が非常に難しく、いつも悩ませられます。

海外在留日本人小児の成長

 身体的な成長に関しては、以前外国に住んでいる日本人の子と、国内に住む日本人の子で身長や体重がどれほど違うか調べたことがあります。データも300人くらいと少なく、地域差も考慮していないので何ともいえませんが、外国に住んでいる子の方が大きく、肥満度は変わらないという結果でした。成長も定期的にチェックしていただきたいと思います。

海外子育てボランティアグループなど

在留邦人の育児サークル

・ジャカルタ・マザーズクラブ
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/6901/
・バンコク・すくすく会
http://sukusuku.big-star.ws/
・ロンドンなかよし会

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 外国に住んでいる母親が集まって、育児グループを作っていることも多く、上の表中にあるロンドンなかよし会、ジャカルタマザーズクラブ、バンコク・すくすく会は代表的な大きな会です。この3つはホームページを作成したり本を出したり、非常にしっかりした組織のボランティアグループで、海外での妊娠、出産、育児のサポートをしています。このような大きなグループがなくても、日本人会の婦人部には、子どもをもっている母親たちが定期的にお茶を飲んだり、相談したり、遊んだりするような会が、大体どこの都市にもあると思います。ですから、小さな子どもを帯同したり、妊娠・出産を現地で考えている方は、まずこのような育児グループを探して、情報を入手したり、実際にいろいろとサポートしてもらい、自分もまた協力していくとよいと思います。その利用の方法を次に説明しておきます。

育児サークルの利用の仕方

  • 日本から携行するもの

  • かかりつけ医の決め方

  • 育児についての悩みや相談

  • 乳幼児健診やスクリーニング検査の現地での状況や受け方

  • コミュニティとしての役割

  • ボランティア活動への参加

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 まず、現地の気候や、国・地域によっては医薬品など手に入らないものがありますから、日本から持参するものを具体的に聞きます。

 次に、かかりつけ医の決め方も大事なポイントです。私が病院やクリニックを見学してチェックするよりも、実際に利用した人の情報に、より信頼性の高いものがあります。

 もちろん、健診など育児に関する相談ができます。また、言葉が通じなかったり、文化の違いで母親がストレスを抱えて孤立してしまうケースも多いので、そのようなときにも日本語で話せるコミュニティが大切になってきます。利用するだけでなく積極的に会のボランティア活動に参加することによって、自分の存在価値を再認識することも必要です。特に、途上国ではメイドを雇うことが多いので、家事から解放されて時間を持て余し、かえって空虚に感じてしまうこともありますから、そんなときはボランティア活動に参加してやる気を起こしてもらうようにします。

教育について

在外教育施設

日本人学校

国内の小・中学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする全日制の教育施設

補習授業校

現地校・国際学校等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して日本国内の小・中学校の一部の教科について授業を行う定時制の教育施設

私立在外教育施設

国内の学校法人等が海外に設置した、国内の学校教育と同等の教育を行う全日制の教育施設

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 専門外ですので簡単に触れますが、日本人学校や私立のインターナショナルスクールなどがあります。右上の表はジャカルタ日本人学校の例です。2つの大きなプールや吹き抜けのある立派な施設をもった学校です。ここは海外にある日本人学校のなかでも規模が大きく、現在は政情不安のため日本人の数は減っていますが、それでも1,000人くらいの生徒数です。

ジャカルタ日本人学校

  • 幼稚部設置の有無     有

  • 高等部設置の有無     無

  • 在外児童生徒数
      幼稚部168人  小学部905人
      中学部288人  高等部 - 人

  • 職員数
      教員数74人   事務職員数83人

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