



カリフォルニア視察から
カリフォルニア在住のトニー君は、高機能自閉症の診断を受けています。小学校の普通学級に入りながら、特殊クラスにも参加している事で、たくさんのクラスメイトがいます。
これは、トニー君がオーケストラのクラスに参加させたおかあさんの体験談です。
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トニー君のお母さんは、3年生のときに、トニー君をオーケストラ(合奏)のクラスに参加させたくて、申し込みをした。ところが、音楽の担当の男の先生は、
「まだ始めるには早すぎると思いますが」
と、いろいろと理由を言って、トニー君を受け入れたがらなかった。そこでお母さんは、
「自閉症の子は、一生、自閉症なんです。来年になっても、彼は今年と同じです。だったら、今年、受け入れても同じことです」
と、あくまでもオーケストラのクラスへ入れようとした。
なかなかうんと言わない優柔不断な先生に腹を立てたお母さんは、学年主任や特殊クラスの先生に訴え、なんとか、最終的に、音楽の先生から許可を得た。ところが、学期が始まってみると、合奏クラスの名簿の中にトニー君の名前が入っていなくて、また激怒。とにかく、トニー君をそのクラスの中に入れた。
ところが、クラスが始まった次のときに、先生が、
「トニー君ですが、とても危なっかしくて見ていられません!」と苦情を言ってきた。お母さんが察するに、トニー君はヴァイオリンを弾いているんだけど、体のバランスをうまくとることができないので、倒れそうになっているのか、それとも、ヴァイオリンの弦を振り回して、クラスメイトに迷惑をかけているのかもしれなかった。
文句タラタラの先生を無視しているうちに1ヶ月ほどがたった。ある日、合奏のクラスの子どもたちは、郊外学習に出かけていった。トニー君は、用があってみんなとは出かけなかったので、合奏のクラスは、トニー君ひとりだけの参加となった。
その日、トニー君を迎えに来たお母さんに、先生はこう興奮しながら言った。
「トニー君に、あんなに素晴らしい音楽の才能があるとは気がつきませんでした。いや〜、ワンダフルでした」
実は、トニー君のお母さんは、高校で音楽を教えていた先生。今は、私立小学校で教えている。トニー君のお父さんは、トランペット愛好家で、両親そろって音楽家なのだ。
お母さんは、トニー君には、小さなころからヴァイオリンを「鬼のように教えてきた」。毎年、夏には、1ヶ月間毎日合奏のクラスにも通わせてきている。もともと音楽の才能があるところへ、十分すぎるほどの音楽の環境があり、才能を十分に延ばすことができているのだ。
トニー君の才能に気がついて以来、まるで手のひらを返すようにトニー君には寛大になったという先生だが、お母さんとしては、信用しがたいということで、ペケ印がついたままらしい。
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